北陸三十三観音霊場と文化財
北陸三十三観音霊場(ほくりくさんじゅうさんかんのんれいじょう)は、福井県、石川県、富山県を巡る霊場である。
開創は1987年と比較的新しい。
札所一覧一 国観音霊場 第一番 越中聖観世音菩薩 安居寺 (あんごじ)は北陸三十三観音霊場の二十七番札所。
北陸三十三ヵ所観音霊場
札番 |
寺号 |
読み |
所在地 |
1 | 中山寺 | なかやまじ | 福井県 大飯郡 高浜町中山 27-2。 |
2 | 馬居寺 | まごじ | 福井県 大飯郡 高浜町馬居寺 3-1。 |
3 | 妙楽寺 | みょうらくじ | 福井県 小浜市野代 28-13。 |
4 | 多田寺 | ただじ | 福井県 小浜市多田 27-15。 |
5 | 羽賀寺 | はがじ | 福井県 小浜市羽賀 82-2。 |
6 | 天徳寺 | てんとくじ | 福井県 三方上中郡 若狭町天徳寺 38-3。 |
7 | 石観世音 | いしかんぜおん | 福井県 三方上中郡 若狭町三方 22-1。 |
8 | 帆山寺 | ほやまじ | 福井県 越前市住吉町 1-24。 |
9 | 福通寺 | ふくつうじ | 福井県 丹生郡 越前町朝日 7-61。 |
10 | 大安寺 | だいあんじ | 福井県 福井市田の谷町 21-4。 |
11 | 瀧谷寺 | たきだんじ | 福井県 坂井郡 坂井市三国町滝谷 1-7-15。 |
12 | 那谷寺 | なたでら | 石川県 小松市那谷町 ユ122。 |
13 | 宝円寺 | ほうえんじ | 石川県 金沢市宝町 6-14。 |
14 | 観音院 | かんのんいん | 石川県 金沢市東山 1-38-1。 |
15 | 総持寺祖院 | そうじじそいん | 石川県 輪島市門前町門前 1-18甲。 |
16 | 岩倉寺 | いわくらじ | 石川県 輪島市町野町西時国 16-8甲。 |
17 | 上日寺 | じょうにちじ | 石川県 鳳珠郡 能登町字真脇 44-99。 |
18 | 明泉寺 | みょうせんじ | 石川県 鳳至郡 穴水町字明千寺ル 18-1。 |
19 | 妙観院 | みょうかんいん | 石川県 七尾市小島町 3-ヌ-63甲。 |
20 | 山田寺 | やまだじ | 石川県 鹿島郡 中能登町良川 ト2。 |
21 | 長楽寺 | ちょうらくじ | 石川県 鹿島郡 中能登町能登部下106甲2。 |
22 | 永光寺 | ようこうじ | 石川県 羽咋市酒井 イ11。 |
23 | 上日寺 | じょうにちじ | 富山県 氷見市朝日本町 16-8。 |
24 | 国泰寺 | こくたいじ | 富山県 高岡市太田 184。 |
25 | 蓮華寺 | れんげじ | 富山県 高岡市連花寺中部 86。 |
26 | 観音寺 | かんのんじ | 富山県 小矢部市観音町 1-9。 |
27 | 安居寺 | あんごじ | 富山県 南砺市安居 4941。 |
28 | 千光寺 | せんこうじ | 富山県 砺波市芹谷 1111。 |
29 | 常楽寺 | じょうらくじ | 富山県 富山市婦中町千里 6522。 |
30 | 海禅寺 | かいぜんじ | 富山県 富山市四方西岩瀬定籍。 |
31 | 正源寺 | しょうげんじ | 富山県 富山市西番 808。 |
32 | 十三寺 | じゅうそうじ | 富山県 下新川郡 入善町舟見 1498。 |
33 | 法福寺 | ほうふくじ | 富山県 黒部市宇奈月町明日 836。 |
特番 | 金蔵寺 | こんぞうじ | 石川県 輪島市町野町金蔵エ32-1。 |
安居寺の文化財
木造聖観音立像(国指定重要文化財)
安居寺の本尊です。寺を開いたインドの僧:善無畏(ぜんむい)三蔵が携えてきた仏像と伝えられています。
仏像は、宝冠・腕輪・イヤリングなどの装身具や天衣・裳(もすそ)のひだまで量感豊かにカヤ材の一木から造られています。イヤリングをした仏像は国内でも珍しい形式です。平安時代の初期の作(安居寺の開基と年代が合いません・・・)で秘仏として33年に一度ご開帳(未確認情報として、毎年10月18日に虫干しとして開帳されているらしい)されます。観音堂後方の収蔵庫に保管されています。
石造地蔵菩薩半跏像(富山県指定文化財)
凝灰岩様の目の細かい石に刻まれています。左足を折り曲げ、右足を踏み下げた姿勢で左手に宝珠、右手に錫杖(しゃくじょう)を持って台座に腰掛けた姿です。鎌倉時代の作品です。砺波地方にこの像をモデルとした仏像が多く残されています。収蔵庫に保管されています。
木造聖観世音菩薩立像(富山県指定文化財)
秘仏として厨子(ずし)に納めれている本尊の代わり、普段はこの仏像が厨子の前に立てられ信仰されていたため「お前立」も呼ばれていました。本尊に似せた写しの仏像で、一木作りの鎌倉時代の作品です。富山県内の同時期の観音像としては、最も優れた仏像の一つとされています。収蔵庫に保管されています。 安居寺の絵馬(富山県指定文化財) 観音堂内に掲げられています。縦1.8m×横2.3mの板戸3枚に勇壮な馬が描かれ、余白には金箔が押されています。桃山時代の作品で、狩野永徳・三楽師弟が描いたものと伝えられています。カマチに戸車がついており、元々は京都聚楽第の戸で、1622年(元和8年)に加賀三代目藩主前田利常が夫人・天徳院の安産を祈願して奉納したと伝えられています。また、絵から馬が抜け出して近隣の田畑を荒らし悪さをするので綱を描き加えたと伝承されています。
安居寺観音堂(富山県指定文化財)
本尊の聖観音像(国指定重要文化財)を安置するためのお堂です。七間四方の単層入母屋造りで、禅寺風の様式になっています。慶長年間(1596~1615年)に加賀藩の重臣・岡嶋備中守の夫人・月清大姉の寄進によって建てられました。現在の建物は、1766年(明和3年)に再建されたものです。昭和61年に大修理が行われました。
木造見返阿弥陀如来立像(富山県指定文化財)
身体の動きは少なく、袈裟の端や両足は静止の状態を保った像です。桧材の寄木造りで室町時代の作品です。極楽浄土へと導く途中の衆生を気遣い、わずかに後方を振り返る姿の阿弥陀如来像です。この形式は、全国的に見ても珍しく数体しか知られていません。本堂内に安置されています。
安居寺の慶長4年在銘石燈籠
富山県内に現存する最古の年号を持つ石燈籠です。豊臣秀吉の朝鮮侵攻の際、前田利常に従った加賀藩の重臣・岡嶋備中守一吉が1599年(慶長4年)に寄進したものです。朝鮮渡来の石で作ったと伝えられています。基礎は6角形、竿の部分は胴にふくらみを持ち、銘文が刻まれています。笠の下部が失われているため、軒先の構造が不明です。総高2.5mあります。当初は、観音堂の正面に設置されていたようですが、現在は庫裏の庭に設置されています。
以下は、南砺市指定文化財 安居寺仁王門:入母屋桟瓦葺き。二間一戸の楼門です。1772年(明和9年)に再建されたものです。 安居寺古仁王立像:本堂前の山門に安置されています。1615年(慶長20年)の作です。総丈約3.3mあります。